NPO法人設立後の義務を考えたことはありますか?
- グループでの活動の必要性を検討し、個人ではなくグループにて活動することにしました
- 活動の永続性を検討して、一時的な活動ではなく継続して活動を続けると、前向きな意見が出ました
- 任意団体ではなく、きちんとした法人格の取得の必要性を感じています
- NPO法人のメリットを検証して、複数のメリットが享受できそうです
NPO法人が設立後に果たすべき義務は、
- 事業年度終了後3ヶ月以内に事業報告書を所轄庁に提出する
- 正会員に活動報告を行う
- 税法で定める収益事業を行う場合は納税の義務が生じる
(この収益事業を行わない場合は、税金の減免申請が必要になります)
他にもいろいろありますが、どんなNPO法人でもこの3つは該当しますので、これら負担・義務を解説していきます。
1.事業年度終了後3ヶ月以内に事業報告書を所轄庁に提出する
前ページの「メリットの享受」のところでもちょこっと記載しましたが、NPO法人は事業年度終了後3ヶ月以内に事業報告書類を作成して、所轄庁に提出します。
作成する書類は、通常ならば、
事業報告書 収支計算書
貸借対照表 財産目録
役員名簿 社員名簿(正会員名簿)
の6つです。
「私たちのNPO法人は、昨年は●●の活動に△△円の出費を行い、○○円の収入を得ました。現在保有する法人の財産は××円です。昨年度の法人役員は●△◆であり、正会員は○○◆×といった方たちが入会しており、人員基準はクリアしています。」
こういった内容を毎年所轄庁に報告することになります。
この報告書の作成・提出は、会社や任意団体では不要の届け出ですので、NPO法人ならではの負担・義務ともいえます。(会社や任意団体でも情報公開を徹底し、社会的信用を勝ち取りたいならば、こういった書類を作成してWeb上に公開するべきだと思います。)
この書類作成ですが、企業会計や公益法人会計の知識がある方ならば手間であることには変わりないですが、めちゃくちゃ難しいものではなく、時間さえあればこなすことはできます。しかしながら、会計知識がゼロ・又はほとんどない方にとっては非常に手間がかかって難しいものとなります。
この負担を受け入れて、社会的信用の獲得を目指し、ボランティア活動を行う意志があるかどうかです。事務作業が苦手な人ばかりが集まって活動するならば、NPO法人はお勧めしません。任意団体にて活動されてはいかがでしょうか。
2.正会員に活動報告を行う
NPO法人は年に一度は社員総会(正会員が参加する総会)を行うことになります。
開催時期は各法人が定款にて定めていますので、その時期に従うことになりますが、通常は「事業年度終了後3ヶ月以内」に社員総会を行うよう定款に記載します。
社員総会では、役員の選任や前年度の事業報告・決算報告を行うことになります。実際のところ、多くのNPO法人では「議事録だけ作成して書面上では総会を開催したことにしている(実際は行っていない)」というところが多いのですが、それでは社会的信用は得られません。
社員総会は事業年度終了後に行うことが多いので、正会員やその他の会員、寄付をしてくれた方に、「皆様からいただいた寄付金や会費は総額●円であり、これら金銭を◎◎の活動に使用し、××の成果を得ることができました。次年度以降も◆◆の問題を解決していく為、引き続き皆様のご協力が必要です。よろしくお願いいたします」という活動報告を行える絶好の機会です。
社員総会にて議決権を持つのは「社員と呼ばれる方(正会員)」のみですが、総会を他の会員や寄付をしてくれた方、一般市民などにも公開して活動状況を知ってもらいましょう。
実際、弊社の顧問先のNPO法人をみてみると、寄付金や会費を数百万〜数千万という金額単位で毎年集めているNPO法人は、総会は必ず開き、活動状況を公開しています。参加者からの質問にも丁寧に答えています。
そうやって広く市民から信頼を得るための行動の第一歩が、「NPO法人を構成する社員(正会員)に活動をよく知ってもらうこと」なのです。
3.税法で定める収益事業を行う場合は納税の義務が生じる
NPO法人は「税法で定められた収益事業」を行うと、その収益に対して課税されます。この場合、赤字でも年間7〜8万円の納税義務が生じます。
なお、会社の場合は寄付金や会費には関係なくすべての収入に対して課税されますし、任意団体の場合もNPO法人と同じく「税法で定められた収益事業」を行えば課税されますので、『どの組織形態でも課税される条件は全く同じ』といえるのですが、任意団体は何の届け出もなしに設立できてしまう為、税務署が団体の存在を把握できず、納税主体として認知されていないという事例が多々ありますので、「任意団体よりはNPO法人の方が課税が厳しい」ということが言えてしまいます(本来はそのようなことがあってはいけないのですが)。
税務申告するには申告書の作成が必要ですし、申告書を作成するには収支を完璧に把握しなければいけません。収支を完璧に把握するには会計帳簿の整備も必要です。
まあ、「1」や「2」で挙げた活動報告を行うには、収支を完璧に把握する為、会計帳簿の整備は自然と必要にはなりますので、この項目では税務申告書や税金の減免申請書を作成するだけとなりますが、書類を作成する以上、手間であることには代わりありません。
NPO法人設立認証を申請するには、このHPで説明しているように、非常に多くの書類を作成しなければなりません。設立認証だけでなく、その後の手続など、とにかくNPO法人を設立するとこれから先は書類との戦いが始まります。
もちろん、書類の雛形は、内閣府や都道府県庁に「NPO法人の手引き書下さい」ともらいに行けば簡単に手に入りますし、都道府県によってはHPから手に入れることもできます。
しかし、手慣れた人が書類を作成・準備するのならともかく、はじめての人が一からすべて間違いなく、しかも短時間でそろえることは、大変骨の折れることです。というよりはっきり言って不可能です。
苦労して書類を一から作り、役所に何度も手直しをさせられて、やっと設立が認められたNPO法人というのも、「自分が設立した」という愛着が湧き、いいとは思いますが、このHPを見られている方は「NPO法人を作ること」が目的ではないはずです。NPO法人で事業を興すこと・社会貢献を行うことが本来の目的ではないでしょうか? NPO法人の申請に時間をかけるならば、設立後の活動準備に時間をかけた方が設立者・そしてそのサービスを受ける消費者にとっても利益となると思われます。
そこで、弊事務所では、申請書類の認証申請手続きはもちろん、設立後の届出、法務アドバイス、記帳会計代行など設立代表者様の負担を少しでも減らせるように、各種サービスを提供しております。また、NPO法人は設立後も様々な書類を提出しなければいけません。所轄庁から行政指導を受けないように、健全な運営を行っていく上でのコンサルティングも行っております。是非、ご利用ください。
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行政書士法人甲子園法務総合事務所 代表
【藤井 達弘】
NPO設立・運営支援コンサルタントとして皆様のNPO設立をバックアップいたします。
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日本実業出版社の「経営者会報」に4ページにわたり弊社が掲載されています。
女性起業家や起業家のたまごなど、頑張る女性を応援するマガジン『Born to win』に掲載されました。
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