近年、「NPO法人で起業したい」という方が増えてきています。

 『NPO法人って災害救援とか、環境保全などのボランティア団体なのでは?』
と思われている方も多いと思います。実際、NPO法人の正式名称は「特定非営利活動法人」です。

 もっと噛み砕いて説明すると「特定の(法律で定められた分野の)非営利活動(株式配当のような利益の分配を行わない)を行う法人」となります。

 「NPO法人で事業展開なんてできるの?」とお思いの方は、

 という常識をちょっと横へ置いておき、下の「非営利の説明」を熟読してください。


★超重要

NPO法人の「非営利」という言葉の意味について

 会社(株式会社や有限会社、合同会社など)というところは、売上から経費を差し引いて利益が出ると、出資者や従業員に分配することができます。(株の配当金や従業員の臨時ボーナスがそうです)従業員や出資者は会社が儲かれば利益が配当されるので儲けることができるのです。これが法律上の「営利」という意味です。

 NPO法人は「非営利」法人です。なので売上から経費を差し引いて利益が出ても、出資者(正会員)や寄付をして下さった方、従業員に分配することができません(配当金を出すことができないのです)。これが法律上の「非営利」という意味です。

 もちろん、従業員は労働に見合った給料をもらうことはできますし、企業と同じようにボーナスももらうことができます。しかし、「本年度は多くの利益が出ているので配当金を出して会員や寄付をしてくれた方に還元しよう」といった事がNPO法人はできないのです。

 では、利益はどうなるのか?といいますと、余剰利益は来年度の予算に使われることになります。この利益を設備投資などに使ってもいいですし、さらに次年度の会計に利益を繰り越ししても構いません。

「余剰利益は、会員や寄付者に分配するのではなく、次年度以降にさらに活動の規模を大きくする為に、活動の質を向上させる為に使用してくださいね。そして公益の増進を一層推進してくださいね。」というのがNPO法人なのです。

 NPO法人の正式名称は「特定非営利活動法人」です。「非営利」という言葉が使われているので、無料(又は格安)でサービスを提供しなければいけないと思っている方が多いですが、そんなことはありません。分配をしなければ、普通の企業と同じように有料にして、(言葉は悪いですが)儲けてもいいのです。

 こちらのページでも詳しくNPO法人の非営利の意味を説明しております。

★これも超重要

NPO法人の活動分野

 さて、「非営利」の意味は理解していただけたでしょうか?この「非営利」の説明により、利益の分配さえしなければ、NPO法人でも事業展開が可能だ、ということになります。

 ここでもう一度NPO法人の名称に戻りましょう。
 NPO法人の正式名称は「特定非営利活動法人」、噛み砕いて説明すると、「特定の(法律で定められた分野の)非営利活動(株式配当のような利益の分配を行わない)を行う法人」と文頭で説明してきました。

 正式名称を見てピンときた方もいらっしゃると思いますが、NPO法人には、

という限定がついています。よって、法律で定められた分野以外のことを主たる事業目的として行うことはできないのです。

法律で定められたNPO法人の活動分野(20分野)

  1. 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
  2. 社会教育の推進を図る活動
  3. まちづくりの推進を図る活動
  4. 観光の振興を図る活動
  5. 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
  6. 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
  7. 環境の保全を図る活動
  8. 災害救援活動
  9. 地域安全活動
  10. 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
  11. 国際協力の活動
  12. 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
  13. 子どもの健全育成を図る活動
  14. 情報化社会の発展を図る活動
  15. 科学技術の振興を図る活動
  16. 経済活動の活性化を図る活動
  17. 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
  18. 消費者の保護を図る活動
  19. 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡助言又は援助の活動
  20. 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動

 NPO法人で活動できる分野は上の20個の分野のみと法律で定められています。一つ一つの分野を細かく説明すると膨大な量になってしまいますのでここでは説明しませんが (こちらのページで説明しています)、

というよりは、

というぐらい幅広く設定されています。この世の中のほとんどの経済活動がNPO法人で実践可能と見ていいのではないでしょうか。


★これまた超重要

NPO法人は「公益の増進」のために活動する法人です

 2つの条件を満たしたから、NPO法人で即、起業可能!といきたいところですが、そう簡単に事は進みません。もう一つ大きな条件があります。
それは・・・・

です。「公益の増進」というと言葉が難しいですので、次のような言葉に置き換えましょう。

具体的に例を挙げて説明していきましょう。

 儲け一辺倒の考えで介護事業をNPO法人で行うことはできません。しかし、

という経営方針を持って介護事業を行うならば、上で説明した20分野の中の
にあてはまり、NPO法人で起業が可能になります。

 儲け一辺倒の考えでスポーツクラブ・スポーツジムの運営をNPO法人で行うことはできません。しかし、

と考えているならば、上で説明した20分野の中の
にあてはまってきますので、NPO法人で起業が可能になります。

 上2つと同じように儲け一辺倒の考えで「結婚相手紹介サービス」を事業展開していくことはNPO法人ではできません。しかしながら、

という趣旨で行うならば20分野の中の
にあてはまってきますので、NPO法人での事業展開が可能となってきます 。

NPO法人で事業を行っていく際の最大のポイントは「自分達の儲けを最優先とせずに、『みんなが幸せに暮らせる社会創り』を最重要課題として取り組んでいるか?」というところにかかってきます。

「良いことをしているならば、利益は後からついてくる」

という考えの下で事業展開を進めてください。


NPO法人設立手続は甲子園法務総合事務所にお任せ下さい

 NPO法人は他の法人(会社など)に比べて非常に手間と時間がかかります。「一般の人がNPO法人を設立するのには8ヶ月から1年かかる」と言われているのも、決定事項の多さ、書類作成の量を見ていただければ納得していただけると思います。
 設立認証だけでなく、登記手続やその後の手続など、とにかくNPO法人をつくるとこれから先は書類との戦いが始まります。

 もちろん、書類の雛形は、所轄庁(都道府県庁又は大都市市役所)に「NPO法人の手引き書下さい」ともらいに行けば簡単に手に入りますし、所轄庁によってはHPから手に入れることもできます。

 しかし、手慣れた人が書類を作成・準備するのならともかく、はじめての人が一からすべて間違いなく、しかも短時間でそろえることは、大変骨の折れることです。というよりはっきり言って不可能です。

 苦労して書類を一から作り、役所に何度も手直しをさせられて、やっと設立が認められたNPO法人というのも、「自分が設立した」という愛着が湧き、いいとは思いますが、このHPを見られている方は「NPO法人を作ること」が目的ではないはずです。NPO法人で事業を興すこと・社会貢献を行うことが本来の目的ではないでしょうか? NPO法人の申請に時間をかけるならば、設立後の活動準備に時間をかけた方が設立者・そしてそのサービスを受ける消費者にとっても利益となると思われます。

 そこで、弊事務所では、申請書類の認証申請手続きはもちろん、NPO法人の名称・事業目的の決定・役員選任の際のアドバイスなど「NPO法人設立前の準備段階」から専門家ならではの知識・経験を活かしたコンサルティングを行っており、あなたのボランティア活動・事業展開をバックアップしております。また、NPO法人は設立後も様々な書類を提出しなければいけません。所轄庁から行政指導を受けないように、健全な運営を行っていく上でのコンサルティングも行っております。是非、弊社のサービスをご利用ください。

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