NPO法人で事業展開するデメリットは?
本来ならばNPO法人は「純粋にボランティア活動を行う非営利団体向け」の法人格ですので、会社と同じように本格的に事業展開を行う場合には、少し障害が伴います。デメリットを挙げるとするならば以下のような事項が考えられます。
1.法人設立に時間がかかりすぎる
NPO法人の設立にかかる時間ですが、- 設立申請書類作成 約2週間
- 申請書類を受け取ってもらうための役所との折衝 約10日
- 役所での審査期間 約3ヶ月半
- 登記申請に必要な期間 約10日
上で挙げた期間は標準的なものであり、大阪府や東京都などNPO法人の申請数が多い都道府県や大都市で設立する場合、役所での審査期間が丸々4ヶ月かってしまいます。
よって、NPO法人で事業展開を考えられている人は最低でも事業を始められる5ヶ月〜6ヶ月前に法人設立に着手しなければいけません。
また、上の書類作成や役所での折衝の時間は私のような「設立のプロ」が担当した場合の時間であり、NPO法人の設立申請に慣れていない人が行ったとするとその5倍ぐらいの時間がかかるでしょう(はっきり言って、いつから事業展開できるか見当もつかないぐらい時間がかかります)。
当事務所には「○○の事業をNPOで行いたい」という問い合わせが非常に多いのですが、この設立にかかる時間を説明すると「やはり株式会社で・・・」というように会社の形態を選ばれる方が実際に非常に多いです。
2.金融機関からの融資はアテにできない
ズバリ言います。NPO法人に融資をしてくれる金融機関はほとんどありません。あの「日本政策金融公庫」ですら首を横に振ってくる場合があります。
唯一の例外が「NPO法人で介護保険や障害者自立支援法関連の介護事業を展開する場合」です。介護保険等から9割の支給が受けられますし、「NPO法人のイメージが介護事業にピッタリ」ということから、「NPO法人でも介護事業を行っているならば焦げ付きの可能性は少ないだろう」ということで、他の事業を行うNPO法人と比べると融資は下りやすいようです。
まぁ、「できたてホヤホヤの会社に融資をしてくれる金融機関もほとんどないので、どちらでも一緒」と言われてしまうとそれまでですが、ある程度の担保・保証人や数年間の黒字経営の実績を用意しないと融資は非常に難しいと頭の片隅に置いておいて下さい。
3.経営状況はガラス張り
NPO法人は事業年度末の決算が終わると毎年、- 事業報告書
- 収支計算書
- 貸借対照表
- 財産目録
- 役員名簿
- 社員名簿(正会員名簿)
- 公衆(一般市民)への閲覧書類
また、主たる事務所(本店)や従たる事務所(支店)にも上記書類や定款などを常に備え置き、「この法人の○○の書類を閲覧したいのですが・・・」と言ってきた人達に、「はい、どうぞ」と閲覧させなければいけません。
原則としてNPO法人は「経営はガラス張り状態」です。ここまで徹底して情報を公開しているからこそ、「イメージがよい」というメリットが生まれるのですが、商売をやっていると「どうしても見せたくない書類(収支計算書など)」というのもあるでしょう。このデメリットを気にしない人が「NPO法人での起業」に向いている人とも言えます。
4.事務手続きが会社と比べて面倒
上の「経営状態はガラス張り」のところで述べていますが、- 事業報告書
- 収支計算書
- 貸借対照表
- 財産目録
- 役員名簿
- 社員名簿(正会員名簿)
また、NPO法人は会社と比べると定款の変更手続に手間暇がかかります(設立するのと同じぐらい時間がかかります)。よって、あまり小回りの利く法人形態とはいえません。
これら事務負担を「すべて専門家に依頼する」ということならば、問題はないのですが(その分費用はかかります)、「すべて自分達で行うのだ」というならば、
- パソコンを使用して書類を素早く作成できる
- 役所に足を運び、役所の方と打合せ・協議することがあまり苦にならない
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NPO法人設立は上で説明しているように他の法人(会社など)に比べて非常に手間と時間がかかります。「一般の人がNPO法人を設立するのには8ヶ月から1年かかる」と言われているのも、決定事項の多さ、書類作成の量を見ていただければ納得していただけると思います。
設立認証だけでなく、登記手続やその後の手続など、とにかくNPO法人をつくるとこれから先は書類との戦いが始まります。
もちろん、書類の雛形は、所轄庁(都道府県庁や大都市市役所)に「NPO法人の手引き書下さい」ともらいに行けば簡単に手に入りますし、所轄庁によってはHPから手に入れることもできます。
しかし、手慣れた人が書類を作成・準備するのならともかく、はじめての人が一からすべて間違いなく、しかも短時間でそろえることは、大変骨の折れることです。というよりはっきり言って不可能です。
苦労して書類を一から作り、役所に何度も手直しをさせられて、やっと設立が認められたNPO法人というのも、「自分が設立した」という愛着が湧き、いいとは思いますが、このHPを見られている方は「NPO法人を作ること」が目的ではないはずです。NPO法人で事業を興すこと・社会貢献を行うことが本来の目的ではないでしょうか? NPO法人の申請に時間をかけるならば、設立後の活動準備に時間をかけた方が設立者・そしてそのサービスを受ける消費者にとっても利益となると思われます。
そこで、弊事務所では、申請書類の認証申請手続きはもちろん、NPO法人の名称・事業目的の決定・役員選任の際のアドバイスなど「NPO法人設立前の準備段階」から専門家ならではの知識・経験を活かしたコンサルティングを行っており、あなたのボランティア活動・事業展開をバックアップしております。また、NPO法人は設立後も様々な書類を提出しなければいけません。所轄庁から行政指導を受けないように、健全な運営を行っていく上でのコンサルティングも行っております。是非、弊社のサービスをご利用ください。
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行政書士法人甲子園法務総合事務所 代表
【藤井 達弘】
NPO設立・運営支援コンサルタントとして皆様のNPO設立をバックアップいたします。
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女性起業家や起業家のたまごなど、頑張る女性を応援するマガジン『Born to win』に掲載されました。
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