1.社会的信用の増加
活動を行う場合欠かせないのが、対外的な信用です。
第三者からみて任意団体(個人)では、財政状況や経営状況が把握しにくくなっており、取引先・提携先に対しても信用度が低くなります。
それに対しNPO法人は、定款や登記簿謄本などによって個人と法人の計算が明確に区分されているため、取引先もNPO法人の財政状況や経営状況を信用して付き合うことができます。(NPO法人は所轄庁へ毎年決算書類の提出が求められ、これら提出書類は誰でも閲覧することが可能となっていますので、財務面・活動面共に透明度が抜群に高くなります。)
NPO法人は定款や登記簿謄本に「設立趣旨・法人の目的」や「活動内容」が記載されていますので、第三者が法人の内容を把握することも容易です。
このように、法人の状態を第三者が確認できることが信用の基礎となってくるのです。
2.団体名による契約や登記が可能
任意団体の場合、団体名では契約も登記もできません。
実例を挙げると・・・・・
・団体名で事務所を借りることが出来ない
・団体名で公共料金(電気・水道・ガス代)を支払うことが出来ない
・団体名で銀行口座が作れない
・団体名で電話の契約が出来ない
・団体名で自動車の保有が出来ない
・団体名で不動産の所有が出来ない
・・・・・
よって、上で挙げたような契約は代表者個人名で行うことになります。何らかの事情で代表者が変わるたびに、その変更をしなければならず、非常に手間がかかります。
活動がうまくいっているときは、上のようにすべて個人名義で行っていても特に問題はないでしょう(名義変更が面倒ですが)。しかし、この場合、万が一の時に非常に大きな問題を抱えることになります。団体で何らかの問題が発生し、損害賠償や債務不履行(未払い等)などの様々な問題が発生したときには、責任はすべて名義を貸した個人の責任となってしまいます。これでは名義を貸した人(代表者など)はリスクが大きすぎ、活動を拡大していくことが出来なくなります。
しかし、法人格を取得すると、法人として行った活動によって発生した損害は、原則法人が賠償することになります。個人の責任が非常に軽くなるのです。
また、団体名で銀行口座が作れたり、不動産の所有などができますので、法人名で財産を所有できます。この財産は誰のもの、あの財産はこの人のもの・・・と考えなくて済みます。無用な争いを事前に防ぐ一番の対策です。
さらに、任意団体では上で述べているように「代表者」の名前で銀行口座を持ち、資金の流通を行なうしか方法がありませんでしたが、法人口座にすることで、資金の引き出しには「理事長印」や「法人銀行印」が必要になるため、これらの印鑑類をきちんと法人が管理すれば、個人が団体の資金を勝手に流用することが不可能となります。多額の預金を預かっている任意団体の代表者にとっては肩の荷が下り、このメリットを非常に喜ばれております。
3.組織を永続的に維持できる
任意団体では代表者が管理している財産は、法律上代表者個人のものとなってしまいますので、代表者本人の死亡によりその財産は全て民法の規定に沿った処理が行われます。したがって、その任意団体の財産は全て代表者の親族が相続し、本来の持ち主である任意団体に帰属しませんので、その任意団体は自然と消滅する危険性が高くなります。
しかし、NPO法人であれば代表者は理事長でも、すべての財産は法人に属するため、万一代表者である理事が死亡しても他の理事を代表に選任すれば問題ありません。「相続」ということが起きないのです。
4.経費の認められる範囲が広い
ある程度の規模で活動されている任意団体の場合、税務署に個人事業として税務申告されている場合がありますが、任意団体(個人事業)の場合、税務申告をした際に、必要経費が認められないケースがよくあります。これは、どこまでが個人のもので、どこまでが事業用(団体用)のものなのかがはっきりとわからないためです。
ところがこれをNPO法人にすると、個人の支出とNPO法人としての支出が明確に区分されるため、任意団体(個人事業)では認められない経費が認められることになります。
たとえば、自宅を事業所にすると、一定の条件のもとで住宅費(家賃)や光熱費は経費で落とすことができるようになります。
また、自動車を個人事業主が事業用として購入した場合、特別の事由がない限り全額経費として認められませんが、法人では全額経費として認められます。
代表者(個人経営者)の退職金は認められませんが、NPO法人では理事長等役員の退職金まで経費として認められているのです。
その他、代表者個人の持ち物である自動車やパソコンを会社に貸し付け、リース料を取ることも可能になります。個人事業(任意団体)だと「自分の持ち物を自分に貸し付けてどうする!」ということで当然リース料なんて事業経費として認められません。
5.職員採用に有利
職員の採用を考えた場合、任意団体(個人事業主)より法人のほうが有利です。従業員にとっても、法人に勤務するほうが、個人事業所に勤務する場合よりも、勤労意欲が高まり、雇用の安定につながります。よって任意団体より優秀な人材を集めることができるのです。
現在、学生の間でNPO法人への就職が注目されはじめています。「生活していく為には給料を得ることが必要だが、同じ給料を稼ぐならば社会貢献をしながら稼ぎたい」という若者が急増中です。大学でも「NPO法人運営論」などNPOの運営・マネジメントを対象にした講義が開始されはじめています。こういった専門的な教育を受けた人材を採用することが法人格を取得することで可能になります。
6.責任の所在が任意団体と比べ明白である
イベントなどで事故や食中毒などが起きると、任意団体の場合、誰が責任を取るのか? ということが問題になりますが、NPO法人ならば法人が責任を取るので(法人が責任を取ることは出来ないので、実際は役員が責任を取る)、揉めなくて済みます。また、役員の連帯責任という形を取ることも可能ですので、任意団体のように代表者一人が責任をすべてかぶるということもないので、気分的にも楽でしょう。
7.官公署から事業委託・補助金が受けやすい
通常は行政からの事業の委託や補助金は、責任の所在を明確にするために、対象者を法人に限定しています。NPO法人という法人格ができたことにより、例外的に任意団体に対し事業を委託・助成してきた行政も、今後は対象を法人に限定するなど、門戸を狭めたり閉ざしはじめてきています。この点については、民間助成団体の助成金についても同様に考えられます。
実際に福祉分野を見てみますと、介護保険の事業者指定を受けられるのは法人のみです。法人ならばNPO法人でも会社法人でもよく、どんなに活動実績があってもボランティア団体(任意団体)では事業者指定は受けられません。
公共施設の管理を民間に任せる「指定管理者制度」でも、NPO法人の躍進が目立っています。活動実績や保有技術・ノウハウが公に認められるならば、公共施設の管理も夢ではない時代になっているのです。
8.金融機関からの融資も可能
NPO法人制度の認知により、NPO法人向けの金融機関融資も行われはじめています。融資により、個人では不可能な資金量を調達できるようになります。もちろん金融機関を納得させるだけの事業計画は必要ですが・・・
<NPO法人向け融資制度>
・労働金庫のNPOサポートローン
・信用金庫などが実施するNPO法人向け融資制度
・地方自治体のNPO法人向け融資制度
9.会社法人とは比べ物にならないほどの節税が可能
任意団体(個人事業)の場合、累進課税なので所得(売り上げから原価や経費を引いた額)の額が高くなればなるほど税率もアップするしくみになっています。これに住民税と事業税を合わせると、最高で所得の55%が税金となります。
一方、NPO法人の場合、法人税は年間800万円以下の部分について18%、それ以上の部分について30%と簡素化されています。また、これに法人住民税と法人事業税を合わせても税金は最高で所得の約43%程度ですみます。
さらに、NPO法人の場合、「税法で定められている収益事業」をしない団体にいたっては、税金の減免申請を毎年行えば全く税金がかかりませんので、会費や寄付金を中心に事業を運営しているならば通常の会社法人と比べても比較にならないほどの節税対策が可能です。
10.以外と簡単に多額の資金を集めることができる
たとえば、一人1万円の年会費でも、会員がもし100人集まれば1年間に100万円の資金になります。設立時の自己資産ゼロでもたちまち100万円の資金が集まるわけです。会員が500人ならば500万円です。年会費なので、ある程度の会員数さえ確保できれば毎年毎年数百万円単位の収入が計算できます。
もちろん、法人の設立趣旨及び活動内容がよほどしっかりとしていなければこれだけの会員を集めることはできませんが、これまでの活動上でつきあいのあった人などに、法人の事業計画書をみせて、この団体に見込みがあると判断してもらえれば、会員になってもらうことは決して不可能なことではありません。さらに企業や団体が相手なら、賛助会員としてさらに個人からの会費以上のお金が期待されます。
例えば法人の能力を高く買ってくれる数社のスポンサーに10万円単位で賛助会費を出してもらうとか、寄付金をもらうという手もあります。
なおNPO法人の場合、「会費」や「寄付金」として金銭を受け入れているならば、原則これらの収入には課税されません。寄付金や会費が非常に受け入れやすい税制が敷かれていますので、この制度を存分に活用して法人運営をしていきましょう。
11.会社法人より広報にお金がかからない
新聞、テレビ等のマスコミにNPO法人が取り上げられることが増えています。企業であれば広告代を取られそうな内容のものでもNPO法人だから無料で記事として取り上げられることが多いようです。公民館や市民ホールも企業よりNPO法人のほうが値段が安く借りれたりします。NPO法人で事業(誰もやっていないような事業ならなおよい)を大々的に行っているとマスコミのほうから勝手に取材にやってくることが多いです。弊社の依頼者の方から聞いた話によると・・・・
- 所轄庁から認証された日に、新聞社から電話取材を受けた
- 所轄庁に設立認証書類を提出後、2〜3週間で新聞社から取材の要請を受けた
- 市民ニュースのような市の広報誌に取り上げられた
- テレビに出演した
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NPO法人は他の法人(会社など)に比べて非常に手間と時間がかかります。「一般の人がNPO法人を設立するのには8ヶ月から1年かかる」と言われているのも、決定事項の多さ、書類作成の量を見ていただければ納得していただけると思います。
設立認証だけでなく、登記手続やその後の手続など、とにかくNPO法人をつくるとこれから先は書類との戦いが始まります。
もちろん、書類の雛形は、所轄庁(都道府県庁や政令指定都市の市役所)に「NPO法人の手引き書下さい」ともらいに行けば簡単に手に入りますし、所轄庁によってはwebサイトから手に入れることもできます。
しかし、手慣れた人が書類を作成・準備するのならともかく、はじめての人が一からすべて間違いなく、しかも短時間でそろえることは、大変骨の折れることです。というよりはっきり言って不可能です。
苦労して書類を一から作り、役所に何度も手直しをさせられて、やっと設立が認められたNPO法人というのも、「自分が設立した」という愛着が湧き、いいとは思いますが、このHPを見られている方は「NPO法人を作ること」が目的ではないはずです。NPO法人で事業を興すこと・社会貢献を行うことが本来の目的ではないでしょうか? NPO法人の申請に時間をかけるならば、設立後の活動準備に時間をかけた方が設立者・そしてそのサービスを受ける消費者にとっても利益となると思われます。
そこで、弊事務所では、申請書類の認証申請手続きはもちろん、NPO法人の名称・事業目的の決定・役員選任の際のアドバイスなど「NPO法人設立前の準備段階」から専門家ならではの知識・経験を活かしたコンサルティングを行っており、あなたのボランティア活動・事業展開をバックアップしております。また、NPO法人は設立後も様々な書類を提出しなければいけません。所轄庁から行政指導を受けないように、健全な運営を行っていく上でのコンサルティングも行っております。是非、弊社のサービスをご利用ください。
必見! NPO設立を専門家に依頼するメリットは?・NPO設立費用・価格表
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・NPO法人のメリット
・NPO法人のデメリット
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皆様からよくいただく質問をまとめました
・NPO法人で起業・独立する際のメリット・デメリット
・NPO法人の利用方法
・失敗しないNPO起業マニュアル
社長になりたい方必見!
行政書士法人甲子園法務総合事務所 代表
【藤井 達弘】
NPO設立・運営支援コンサルタントとして皆様のNPO設立をバックアップいたします。
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日本実業出版社の「経営者会報」に4ページにわたり弊社が掲載されています。
女性起業家や起業家のたまごなど、頑張る女性を応援するマガジン『Born to win』に掲載されました。
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