定款とは?
定款とは、法人の目的・内部組織・活動内容などに関する根本規則を定める文書です。
定款作成にあたっては、NPO法人が、社会貢献活動を行い、原則として誰でも社員になれるしくみをとることを十分認識して、民主的なルールを明確にすることが必要です。
ほとんどの都道府県でもらえる手引き書には定款の例が記載されています。しかし、これはあくまでも「例」です。そのままそっくりまねするのも結構ですが、後で泣きを見ないように十分に検討して作成されることをお勧めします(弊社の経験上、所轄庁の定款雛形では事業型NPO法人は運営できません)。
定款の作り方
- 用紙の大きさは、日本工業規格A列4番で作成します。
- 提出する所轄庁によって必要部数が異なる場合がありますので、必ず手引き書を確認してください。(大阪府庁や兵庫県庁に提出する場合は2部必要です)
- 所轄庁によって、定款で定めることができる権限が大きく異なります(A県では理事会での理事選任がOKなのに、B県やC県では認めてもらえない等)。所轄庁から配布されている定款雛形をそのまま使用する場合は問題にはなりませんが、配布されている定款を基にオリジナル定款を作成した場合は提出前に必ず所轄庁の担当者と協議を重ね、認証してもらえるかどうかを確認してください。
- 次の事項は必ず定款に記載しなければいけません。
- 目的
わかりやすく簡潔に書きましょう。 - 名称
アルファベットを使用する場合は、登記名も併記します。略称がある場合は、それも記載します。 - 行う特定非営利活動の種類及び当該特定非営利活動に係る事業の種類
NPO法の第2条第1項別表に定められた20分野のいずれかを記載します。複数の分野の活動を行う場合は、そのすべてを記載します。 - 主たる事務所及びその他の事務所の所在地
支部を置く場合は、ここに記載します。支部は、設置のための登記の必要がありません。 - 社員の資格の喪失に関する事項
- 会員の種類
会員の種類は何種類でも構いません。どんな種類や名称であっても社員となることは可能です。また、社員については、入会制限はできませんが、その他の会員には入会にハードルを設けることができます。 - 入会
社員に該当する種類の会員は、入会に条件はつけられません。社員総会を円滑に進める目的で、入会に条件をつけることは原則として不可能です。 - 入会金及び会費
入会金や会費の額は、定款の最後に記載する「附則」の中に示す必要があります。 - 会員の資格の喪失
どのようなときに社員(会員)の資格が失われるかあらかじめ定めておかなければいけません。 - 退会
入会はもちろんですが、退会も自由にできるようにしなければなりません。 - 除名
どのようなときに除名されるのか、どのような手続で除名が行われるのかをあらかじめ定めておかなければいけません。
- 会員の種類
- 役員に関する事項
- 役員の人数
何人と決めてしまうと、不測の事態で一人でも欠けたときに、この定款に違反することになってしまいます。よって必ず人数には幅をもたせるようにしましょう。ただし、NPO法で理事は3人以上、監事は1人以上にしなければなりません。 - 選任方法
役員の選任方法を定めます。 - 職務
役員の職務を定めておきます
ただし、事務局長等の事務方の職務はここに記載してはいけません。 - 任期
任期は2年以内であれば、1年でも1年半でも構いません。また任期を終えてから再選されれば、何期でも続けることができます。 - 解任
どのようなときに役員の資格が失われるかあらかじめ定めておかなければいけません。 - 報酬
役員報酬をもらえる役員数は、総役員の3分の1を超えてはいけません。
しかし、理事が職員と同じような仕事に就く場合、給与人件費を支払うことができます。この際の費用は、役員報酬になりません。給与人件費は、監事以外にならば自由に何人でも支払えます。
- 役員の人数
- 会議に関する事項
総会や理事会について定めておかなければいけません。 - 資産に関する事項
資産構成及びその管理について記載しなければいけません。 - 会計に関する事項
会計の原則について定めます。 - 事業年度
「この法人の事業年度は毎年○月○日から○月○日に終わる」というように定めておきます。 - 解散に関する事項
NPO法人の解散事由について記載しておきます。 - 定款の変更に関する事項
定款の変更方法について定めておきます。 - 公告の方法
公告の方法を記載します。官報で公告を行うように定めておくのが手間・費用の面を考えて最も無難です。 - その他の事業を行う場合には、その種類その他当該その他の事業に関する事項
NPO法人の主たる目的ではない営利事業を行う場合は、事業の種類やその事業に関する事項を記載する必要があります。
- 目的
甲子園法務総合事務所でのNPO法人定款の作り方
甲子園法務総合事務所ではすべての条文を下記のように一つ一つ要件を検討しながらお客様のご意見・御要望をできる限り反映させた定款を作成しております。
第1条 この法人は、特定非営利活動法人○○○○という。
英文名を○○○○○○○○、略称を○○○○とする。
「NPO法人の名称の決め方」に注意事項はすべて記載してありますので、そちらを参照にしてください。
なお、英文名などの外国語名の法人名を付けることも可能です。
外国語名の法人名を付けない場合は、「英文名を○○○○○○○○、略称を○○○○とする。」を削除してください。
第2条 この法人は、主たる事務所を○○県○○市○○町○丁目○番○号に置く。
2 この法人は、前項のほか、従たる事務所を○○県○○市○○町○丁目○番○号に置く。
複数の事務所があるときは全て記載し、主たる事務所と従たる事務所の区別を明確にします。
定款に記載する所在地の表示は、地番又は住居表示全てを表示するか、または少なくとも独立の最小行政区画までを表示します。
・兵庫県西宮市浜甲子園二丁目16番26号(地番すべて表示の例)
・兵庫県西宮市(最小の行政区域の例)
ただし、最小の行政区画までしか定款に記載しなかった場合は、登記の際に地番まで特定して登記しなければならないため、必ず事務所の所在場所を地番まで決定したことを証する会議などの議事録の提出が必要になりますので、「住所を頻繁に移動する可能性がある」といったことがなければ、定款に住所を詳細に記載しておいたほうが便利です。
第3条 この法人は、○○○に対して、△△△に関する事業を行い、□□□に寄与することを目的とする。
詳しくは「NPO法人の設立趣旨・目的を考える」に記載してありますので、そちらを参照にしてください。
なお、ここに記載する目的はあくまでも主たる事業に関する目的であり、従たる事業(収益事業など)の目的などは記載する必要はありません
第4条 この法人は、前条の目的を達成するため、次に掲げる種類の特定非営利活動を行う。
(1)
(2)
ここでは行う下記20項目のいずれかの活動の種類を記載します。記載は必ずしも一つでなくともよく、20項目の活動のうち複数の活動を記載してもかまいません。ただし、ここで記載した項目が第3条の目的や第5条の事業内容に反映されていなければいけません。
なお、下記の表現を一文字も変えずに記載しなければなりません。
- 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
- 社会教育の推進を図る活動
- まちづくりの推進を図る活動
- 観光の振興を図る活動
- 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
- 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
- 環境の保全を図る活動
- 災害救援活動
- 地域安全活動
- 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
- 国際協力の活動
- 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
- 子どもの健全育成を図る活動
- 情報化社会の発展を図る活動
- 科学技術の振興を図る活動
- 経済活動の活性化を図る活動
- 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
- 消費者の保護を図る活動
- 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
- 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動
※「前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動」を記載する場合、1種類の特定非営利活動しかしない場合は、「前号に掲げる活動を行う・・・」になります。
第5条 この法人は、第3条の目的を達成するため、次の事業を行う。
(1)特定非営利活動に係る事業
@・・・・・
A・・・・・
B・・・・・
C上記事項に関する情報提供事業
Dその他目的を達成するために必要な事業
(2)その他の事業
@
A
2 前項第2号に掲げる事業は、同項第1号に掲げる事業に支障がない限り行うものとし、収益を生じた場合は、同項第1号に掲げる事業に充てるものとする。
ここで行う事業の種類を記載します。設立当初から実施する事業だけでなく、将来において実施しようとする事業も記載しておくと、定款変更の手間が省けるので便利です。
「特定非営利活動に係る事業の種類」について、これは主たる目的とする事業です。言い換えると、第4条の20分野のいずれかに該当する活動で、不特定かつ多数の者の利益の増進を目的として行われる事業のことです。この事業でたとえ対価を得ていたとしても、その活動が本来の目的の達成のために行うものであれば特定非営利活動に係る活動となります。
なお、下の青字の部分は「その他の事業」を行わない場合は削除してください。
(2)その他の事業
@
A
2 前項第2号に掲げる事業は、同項第1号に掲げる事業に支障がない限り行うものとし、収益を生じた場合は、同項第1号に掲げる事業に充てるものとする。
第6条 この法人の会員は、次の○種とし、正会員をもって特定非営利活動促進法(以下「法」という。)上の社員とする。
正会員 この法人の目的に賛同して入会した個人又は団体
賛助会員 この法人の事業を賛助するために入会した個人又は団体
名誉会員 この法人に対して功労のあった者または学識経験者・著名人
で理事会において名誉会員として推薦された個人及び団体
比較的よく使われる会員の種類を記載してあります。必要ない場合は削除してください。
会員の名前を変更することは自由です。条件の部分を変更することも自由ですが、正会員の条件は不当な条件を付けてはいけません。
会員の種類が多い場合は次のように記載することもできます。
正会員 この法人の目的に賛同して入会した個人又は団体
その他の会員 理事会が別に規定において定めた会員
定款は「法人の憲法」と呼ばれるぐらい大切なものです。上記のように一つずつ検討していきながら作成していきましょう。
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定款の作成手順をざっと述べると上記のようになります。
定款を作成するには、このHPで説明しているように、非常に多くの知識が必要とされます。
もちろん、定款の雛形は、所轄庁からもらえる手引き書に記載されています。しかし、定款は「法人の憲法」と呼ばれるぐらい重要なもの。雛形まる写しでいいのでしょうか?
- 事業目的の記載は適切ですか?
- 会員種別は活動にあったものになっていますか?
- 理事長・副理事長以外にも専務理事や常務理事を置きたいと思ったことはありませんか?
定款が認証されてしまうと、簡単には訂正はできません。法人設立後に「やっぱり○○にしておけばよかった」と思っても、定款変更には設立と同じぐらいの期間(約4ヶ月間)が必要になってしまうのです。事業目的の表現方法が適切でなかったときは目も当てられません。法人設立で4ヶ月間待たされたのに、定款変更でさらに4ヶ月間待たされる・・・・ いったいいつから事業展開できるのでしょうか。
手慣れた人が書類を作成・準備するのならともかく、はじめての人が一からすべて間違いなく、しかも短時間でそろえることは、NPO法人設立の場合は不可能と言い切って良いでしょう。
苦労して書類を一から作り、公証人役場や法務局で何度も手直しをさせられて、設立に1年近く時間をかけ、やっと設立登記が完了したNPO法人というのも、「自分が設立した」という愛着が湧き、いいとは思いますが、現在このHPを見られている方は「NPO法人を立ち上げること」が本来の目的ではないはずです。NPO法人で事業を興すこと・社会貢献活動を行うことが本業ではないでしょうか? NPO法人の申請に時間をかけるならば、設立後の事業準備に時間をかけた方が設立者・そしてそのサービスを受ける消費者・一般市民にとっても利益となると思われます。
甲子園法務総合事務所では、NPO法人の名称・事業目的の決定など「NPO設立前の準備段階」から専門家ならではの知識を活かしたコンサルティングを行っております。御依頼をいただいた場合は定款作成や所轄庁との打合せも依頼者に代わり完全代行しております。皆様からのお問い合わせをお待ちしております。
必見! NPO設立を専門家に依頼するメリットは?次のページは、
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・NPO法人の利用方法
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行政書士法人甲子園法務総合事務所 代表
【藤井 達弘】
NPO設立・運営支援コンサルタントとして皆様のNPO設立をバックアップいたします。
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日本実業出版社の「経営者会報」に4ページにわたり弊社が掲載されています。
女性起業家や起業家のたまごなど、頑張る女性を応援するマガジン『Born to win』に掲載されました。
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