NPO法人の会員種別を考えよう
会員の種類は大きく分けて下の5種類になります。名称は自由ですので好きな名前を付けてください。ただし、会員の種類が複数存在する場合は定款に「○○会員をもって特定非営利活動促進法(以下「法」という。)上の社員とする。」と明記しなければいけません。
NPO法人の会員種別(主なもの)名称 | 内容 | 会費の有無 |
正会員 | この法人の目的に賛同して入会した個人又は団体。 | 無料の法人もあれば結構高額の会費を徴収しているところもある。玉石混同 |
賛助会員 | この法人の目的に賛同し、事業を賛助するために入会した個人及び団体。 | 金銭的に法人を援助することが目的である為比較的高額な場合が多い |
ボランティア会員 | この法人の目的に賛同し、ボランティアとして各種活動に協力していただける個人。 | ボランティア保険料相当分を会費として徴収することが多い。無料のところもある |
名誉会員 | この法人に対して功労のあった者または学識経験者・著名人で理事会(又は総会)において名誉会員として推薦された個人及び団体。 | こちらから依頼して入会してもらっているので無料のことが多い |
利用会員 | この法人が提供するサービスを利用することができる個人及び団体。 | 利用料相当額を徴収 |
社員(正会員)の入会制限について
社員(正会員)以外の会員種別(賛助会員やボランティア会員など)については、何の制限のありませんので、自由に入会条件を設定していただいて結構です。
正会員の入会制限に関しては、一応、定款で「理事長は正当な理由がない限り、入会を承認しなければならない」という文句を入れておけば、正当な理由があれば入会を拒むことはできます。ただ、「この人は嫌いだから入会させたくない」「女性だから」「子どもだから」「年を取っているから」という理由では正当な理由にはなりません。
社員(正会員)はNPO法人の総会で議決権を持つことになります。NPO法人の総会は、
- NPO法人の役員(理事及び監事)の選任権 や
- NPO法人の運営上重要だと思われる事項の決定権
NPO法人の社員の議決権は株式会社のように「出資した金額(株数)に応じて議決権が与えられる」というものではなく、一人1票ですべての社員が平等に議決権を持つことになります。
よって、
「見知らぬ人が社員(正会員)として入会したら、自分達の意見が通らなくなってしまう可能性がある」
ということで、社員に入会制限を設けたい、とよく相談を受けます。
入会制限をつけるとするならば、入会するための条件をつけることが、団体の活動目的や事業内容との関係から見て、一般的に許されるか? ということが判断材料とされています。事実、NPO法人の所轄庁からは「合理的な理由があれば正会員の入会制限はできます」という回答をもらってはいますが、その『合理的な理由』を見つけることが不可能に近い。
上で述べたように、社員(正会員)の定義は、
この法人の目的に賛同して入会した個人及び団体
のことなのです。そのNPO法人の活動に参加する人のことではありません。法人の職員になる人のことでもありません。あくまで、趣旨に賛同してくれた人のことなのです。
例えば戦災地や自然災害の被災地で医療行為を行うNPO法人があったとしましょう。医療行為という人命に関わる高度な技能が必要とされますので、実際に活動する方は医師や看護士など医療従事者に限られてきます。よって、活動に従事する方の条件は法人の好きなように設定できます。
しかしながら、一般市民から「その団体の趣旨に賛同した。入会金・会費は負担するのでぜひ正会員にしてほしい」という要望があった場合、よほどの事情がない限り入会を拒むことはできません。
「あなたのNPO法人の趣旨に賛同した。入会することであなたの団体を支えていきたい」
この想いを持つことに「資格」や「性別」「技術」「能力」は関係ありません。よって、社員(正会員)の入会に制限を加えることは認められないのです。
ちなみに入会制限が認められるのは年齢ぐらいでしょうか。
かといって、好き勝手に条件を付けられるわけではありません。
- この法人の入会金・会費は高額なので、その金額が個人で負担できる20歳(18歳)以上を入会の条件にしよう
- NPO法人の意思決定に携わるわけだから、物事を自分で決定できる(法律上の契約を行える)20歳以上を正会員の対象としよう
年齢による入会制限も上の2つが認められるぐらいです。(NPO法人を監督する所轄庁によっては、この要件もダメ、と認めてもらえないところもあります。)
NPO法人の社員(正会員)の入会制限は原則できない、と考えておいてください。
入会制限・議決権の制限の例
何度も書いていますがこういったことはNPO法人では認められていません
- 資格の取得や活動年数を正会員(社員)の条件とし、それ以外の人を賛助会員とする。等
- 社員総会の議決の際に、
「一般の者は1票」
「資格所持者又は活動歴○年以上の者は2票」
等議決権に差を付ける場合 - 入会するには現会員の推薦が必要であるとか、理事会の承認を必要とする、等条件を付ける場合
利用会員制度について
利用会員についてですが、所轄庁の担当者は利用会員の規定を定款に記載することを非常に嫌がります。私の経験上、利用会員の記載があるとほぼ必ず抹消させられています。なので、利用会員の制度を作るならば、定款で定めずに「会員規則」など理事会や総会で定める規則で規定したほうがいいでしょう。
会費・入会金について
「不当に高額ではいけません」とよく手引き書などに書かれていますが、実際のところいくらぐらいまでならば問題がないのでしょうか?
私の経験上、正会員の会費は月1万円(年額10万円)ぐらいまでならば何の問題もなく所轄庁に書類を受け取ってもらい、認証されています。
月1万円以上の会費でも、会員にそれなりのメリットがあると思われるものならばOKといわれています。ただし月に約3万円以上という会費は「入会制限」とみなされてしまう可能性があります。年間36万円の金銭負担は一般人にはそう簡単に享受できるものではありませんので。
なお、会費を一口(年間)○○円とし、何口でも申込できるようになっている団体もありますが、この場合、申込口数によって、総会の議決権に差をつけることはできません。(3口申し込んだからといって総会の議決権が3口分け与えられるものではありません。何口申し込んでも1人1票です)
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NPO法人設立認証を申請するには、このwebサイトで説明しているように、非常に多くの書類を作成しなければなりません。設立認証だけでなく、その後の手続など、とにかくNPO法人を設立するとこれから先は書類との戦いが始まります。
もちろん、書類の雛形は、所轄庁(都道府県庁や政令指定都市の市役所)に「NPO法人の手引き書下さい」ともらいに行けば簡単に手に入りますし、所轄庁によってはwebサイトから手に入れることもできます。
しかし、手慣れた人が書類を作成・準備するのならともかく、はじめての人が一からすべて間違いなく、しかも短時間でそろえることは、大変骨の折れることです。というよりはっきり言って不可能です。
苦労して書類を一から作り、役所に何度も手直しをさせられて、やっと設立が認められたNPO法人というのも、「自分が設立した」という愛着が湧き、いいとは思いますが、このHPを見られている方は「NPO法人を作ること」が目的ではないはずです。NPO法人で事業を興すこと・社会貢献を行うことが本来の目的ではないでしょうか? NPO法人の申請に時間をかけるならば、設立後の活動準備に時間をかけた方が設立者・そしてそのサービスを受ける消費者にとっても利益となると思われます。
そこで、弊事務所では、申請書類の認証申請手続きはもちろん、設立後の届出、法務アドバイス、記帳会計代行など設立代表者様の負担を少しでも減らせるように、各種サービスを提供しております。また、NPO法人は設立後も様々な書類を提出しなければいけません。所轄庁から行政指導を受けないように、健全な運営を行っていく上でのコンサルティングも行っております。是非、ご利用ください。
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行政書士法人甲子園法務総合事務所 代表
【藤井 達弘】
NPO設立・運営支援コンサルタントとして皆様のNPO設立をバックアップいたします。
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日本実業出版社の「経営者会報」に4ページにわたり弊社が掲載されています。
女性起業家や起業家のたまごなど、頑張る女性を応援するマガジン『Born to win』に掲載されました。
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