「なぜNPO法人で起業するのか?」という理由を明確にしよう
「事業の拡張(他分野への進出)に制限があります」の項でも記載していますが、NPO法人を設立するには、
「現在、○○が問題になっているので、私達はこれを解決するために△△の活動を行い、○○を解決し、公益の増進に寄与していきたい」といった『設立趣旨』が必要になります。設立時だけでなく、NPO法人設立後も、この設立趣旨に添って事業を行っていくことになります。NPO法人が実施できる事業の内容はこの設立趣旨に縛られるため、事業の拡張性は高くありません。
株式会社や合同会社を設立するには、書類上は「設立趣旨」は必要とされていないため、特に考える必要もなく、会社設立後も設立趣旨に縛られることなく経営を行うことが出来ます。(もちろん会社設立時に「私の会社は○○の問題を解決して●●を提供していきたい」という趣旨をお持ちになっても問題ありません。その趣旨に基づいて経営されている会社は大変立派だと思います)
仮に、NPO法人にて、◆託児所・保育所の運営
◆学童保育サービスの提供
◆高齢者や障害者への介護サービスの提供
といった事業を実施していきたいならば、
『現在、都市部の一般家庭では女性(主婦層)の社会進出や核家族化が進み、従来家族内で行われてきた「乳幼児の保育」や「学童の保護」「障害者や高齢者への介護」が十分に提供できていない。よって、この法人は乳幼児には保育サービスを、小学生には学童保育を、介護を必要とする高齢者や障害者には介護サービスを提供することにより、誰もが快適に過ごすことができる社会実現に寄与したい。』というような設立趣旨にて「託児所・保育所の運営」「学童保育サービスの提供」「高齢者や障害者への介護サービスの提供」といった事業を行っていくことになります。
あなたが本当にこういった趣旨・想いを持って事業を興されるならば何の問題もないのですが、『NPO法人を設立したいがために、設立趣旨を考え出している』ならば、あなたはNPO法人での起業には向いていません。
NPO法人はこの設立趣旨から外れない限り、いろいろなサービスを定款や登記簿謄本に「事業内容」として記載でき、その記載に基づき事業実施ができますが、逆にいえば、この趣旨から外れてしまう活動・事業はできません。
心の底から設立趣旨と同じことを考えているならば、経営方針がぶれる可能性は非常に低いので「●●の事業も実施しよう」「◇◇の活動も行いたい」ということは、よほどの事情がない限り起こりえないでしょう。
しかしながら、NPO法人の設立趣旨を、『NPO法人にて「子育てに関する事業」と「介護事業」を行いたい。設立趣旨書がNPO法人の設立申請に必要なのでとりあえず考えるか。』と軽く考えているならば、将来「あの事業もしたい」「この活動もしたい」といろいろと欲が出てきてしまうのです。弊社のお客様を分析してみると、設立趣旨に深い思い入れがなく、「NPO法人を設立するためだけに設立趣旨を考え出した方」にこの傾向が強く見られます。
「介護サービスの種類を増やす」「子育てママさん向けに新しいサービスを行う」ぐらいならば設立趣旨の中で収まると思われますので、定款の事業種目の変更手続さえきちんと行えば実施できると思われますが、全く分野の違う「環境ビジネスをやりたい」「スポーツ関連事業も行いたい」となってくるとこの設立趣旨で設立したNPO法人では無理です(趣旨からはずれた事業になってしまう為)。
そもそも「介護ビジネス」「子育て支援ビジネス」「環境ビジネス」「スポーツ関連ビジネス」と分野が大きく異なるこの4つの事業実施ができる筋の通った設立趣旨なんて考え出せるのか? とも思います。少なくとも弊社では無理です。考え出せません。
「現在、○○が問題になっているので、私達はこれを解決するために△△の活動を行い、○○を解決し、公益の増進に寄与していきたい」
あなたは本当にそう思っていますか?
思っているならば、それは非常にすばらしいことです。是非NPO法人にてその想いを実現させていきましょう。
思っていないならば、わざわざNPO法人で起業する必要はありません。会社で事業を興されてはいかがですか? 設立後の事務処理も会社の方が楽ですよ。
・会社設立支援室「社長になるドットコム」
・株式会社の作り方
・合同会社の作り方
NPO法人は他の法人(会社など)に比べて非常に手間と時間がかかります。「一般の人がNPO法人を設立するのには8ヶ月から1年かかる」と言われているのも、決定事項の多さ、書類作成の量を見ていただければ納得していただけると思います。
設立認証だけでなく、登記手続やその後の手続など、とにかくNPO法人をつくるとこれから先は書類との戦いが始まります。
もちろん、書類の雛形は、所轄庁(都道府県庁又は大都市市役所)に「NPO法人の手引き書下さい」ともらいに行けば簡単に手に入りますし、所轄庁によってはHPから手に入れることもできます。
しかし、手慣れた人が書類を作成・準備するのならともかく、はじめての人が一からすべて間違いなく、しかも短時間でそろえることは、大変骨の折れることです。というよりはっきり言って不可能です。
苦労して書類を一から作り、役所に何度も手直しをさせられて、やっと設立が認められたNPO法人というのも、「自分が設立した」という愛着が湧き、いいとは思いますが、このHPを見られている方は「NPO法人を作ること」が目的ではないはずです。NPO法人で事業を興すこと・社会貢献を行うことが本来の目的ではないでしょうか? NPO法人の申請に時間をかけるならば、設立後の事業準備に時間をかけた方が設立者・そしてそのサービスを受ける消費者にとっても利益となると思われます。
そこで、弊事務所では、申請書類の認証申請手続きはもちろん、NPO法人の名称・事業目的の決定・役員選任の際のアドバイスなど「NPO法人設立前の準備段階」から専門家ならではの知識・経験を活かしたコンサルティングを行っており、あなたの事業展開をバックアップしております。また、NPO法人は設立後も様々な書類を提出しなければいけません。所轄庁から行政指導を受けないように、健全な運営を行っていく上でのコンサルティングも行っております。是非、弊社のサービスをご利用ください。
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日本実業出版社の「経営者会報」に4ページにわたり弊社が掲載されています。
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