銀行印や角印って必要?
皆様からよく受ける質問に
- NPO法人を設立したときには、これら3つの印鑑が必要なのでしょうか?
これからNPO法人を経営していくにあたって、印鑑の扱い方は非常に大切です。NPO法人の命運を左右する場合もありますので、ここで詳しく説明させて頂きます。
前のページでも述べているように各印鑑の用途は、代表印 (法人実印) |
法律で実印の押印が要求されている場合や、NPO法人にとって超重要な契約書への押印に使用される |
銀行印 | 金融機関への口座開設やそれに関連する手続(お金の引出や小切手・手形関連)への書類に押印される |
角印 | 領収書や請求書、実印の押印の必要がない契約書等への押印に使用される |
「自分一人でNPO法人を設立した(他の役員は名前だけ)。理事長は私だ。従業員もいない。自分一人でありとあらゆることを判断し、すべての仕事を自分でやっていくのだ。従業員も雇うつもりはない。」
ということならば、印鑑は「代表印(法人実印)」だけで構いません。
なくさないように、印鑑を欠けて印影を変えないように、大切に扱いながら使用してください。
しかしながら、上のような志でNPO法人を設立される方はまずいないでしょう。
最初は
「理事長一人、従業員ゼロ」
でも、
『いつか従業員を雇って大きく活動をするのだ!』
と希望を抱かれているのが、普通だと思います。
印鑑が代表印(法人実印)の一本しかないと、活動が軌道に乗り、大きく飛躍しようというときにちょっとした問題が起きてしまうのです。
- 「従業員がゼロ、すべての作業を自分が行う」
ならば、重要な契約書への押印も、銀行へお金を下ろしに行くのも、請求書や領収書に印鑑を押すのも、すべて「理事長本人」が行うことになります。理事長本人が責任を持って印鑑を押しているので、法人実印を領収書に押していたとしても、特に問題はありません。
問題が出てくるのは業務が忙しくなってきて従業員を雇ったときからです。
- 「領収書に印鑑を押しといてね」
- 「銀行に行って●●してきて」
NPO法人の実印があれば、
- 金融機関からお金を借りることができます
- 不動産の賃貸借、売買ができます
- あらゆる契約書に印鑑を押し、「有効」にできます
(NPO法人は言葉を発することができません。そのため、「法人実印を押す」という行為がNPO法人の意思表示手段となっているのです。)
「勝手に従業員が法人実印を押したんだ」という言い訳は通用しません。従業員が勝手に押せる状態にしていた理事長が悪い、ということになります。
かといって、あらゆる書類への押印を理事長本人が行うことも、時間的に不可能です。請求書や領収書への押印が1日に2〜3枚ならば可能ですが、枚数が増えれば増えるほど「これは理事長のする仕事か?」と思えてくるようになるでしょう。
銀行印や角印にも大切な役割があります
印鑑を使い分けるということは「NPO法人のリスクヘッジ」の一環です。
弊社が顧問をしているNPO法人を例に説明すると、
代表印(法人実印)
代表印(法人実印)は何度も説明しているようにNPO法人で最も重要な印鑑です。
押印される書類はNPO法人にとって「超重大事項」となります。従業員が、
「この書類に印鑑を押そうか、どうしようか・・・」
と判断することはおそらくありませんし、社外へ持ち出す事もあり得ないので、従業員はこの印鑑が何処に保存されているかさえ知りません。隠し場所を知っているのはNPO法人理事の3名のみです。
銀行印
そのNPO法人は従業員の人数もまだ一桁の発展途上のNPO法人ですので、銀行に行って頻繁に現金を下ろしてくる必要もありません。よって、銀行印を従業員に渡す必要もありませんので、代表印と一緒に厳重に保管されています。
従業員が増えて、銀行取引を従業員に任せることになったとしても、銀行印のみでできる取引は「預金通帳から現金を引き出す」程度のことしかできませんので、万が一『横領』という事態が発生したとしても損害を「預金の額」の範囲内で抑えることが可能になります。
このように、NPO法人実印と銀行印を分けることで、- 「銀行や事業者ローンで勝手にお金を借りられて●千万円の損失」
角印
その法人で一番『雑』な扱いを受けているのは「角印」です。
請求書や領収書への押印はかなりの頻度で発生しますし、役員がそんな雑務に携わり続けるわけにもいきません。使用しやすいように机の上に朱肉と印鑑マットとセットにして置かれています。請求書や領収書を郵送する従業員が勝手に「ポン」と押しています。
- 「印鑑証明書でその印影を実印かどうかきちんと確認しなかったあなたが悪い」
NPO法人実印が欠けることも防げます
また、NPO法人実印の使用頻度を減らし、大切に保存しておくことで「印影の保護」も可能になります。
大切に使用していたとしても、落としてしまったり、机の縁に当ててしまったり等「印鑑が欠けてしまい、印影が変わってしまう」リスクが伴います。
法人実印は「法務局に登録されている印鑑」ですので、印鑑の縁が欠けてしまった場合は、新しく作り直し、また登録し直さなければならない、という『手間』も発生してしまうのですが、角印は何処にも登録されていませんので、欠けてしまったとしても作り直すだけで済みます。
以上、印鑑を3種類に分けて作成しておくメリットを説明させて頂きました。
値段は1本だけ買うのに比べると約3倍となりますが、最初のちょっとした負担でこれだけリスクを減らせて、作業効率も上がるならば、ものすごくお得だと思うのですが、いかがでしょうか?
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【藤井 達弘】
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