Q.NPO法人の寄付金の取扱について詳しく教えてください
A.
●個人(個人事業主)から寄付金を受け取った場合の寄付した個人について何か課税上の恩典などはありますか?
個人の場合、医療費控除のような所得から控除できる寄付金控除というものは通常のNPO法人にはありません(国税庁から認定された認定NPO法人にはあります)。
よって、通常のNPO法人に個人が寄付をしても、残念ながら住民税や所得税等の税金が安くなるということはありません。
(国税庁のWebサイトにリンクしています)
●会社・法人がNPO法人に寄付した場合、何か課税上の恩典などはありますか?
法人が他の会社・法人に寄付をした場合と同じ取扱いになり、一般寄付金として損金算入限度額を超えない限り、寄付した金額は法人税の課税対象とはなりません。
損金算入限度額の計算式は、
(1)資本等の金額(資本金)×2.5÷1000
(2)寄付をした事業年度の所得の金額×2.5÷100
((1)+(2))÷2
となっています。
資本金が1000万円、所得が500万円だとすると
1000万円×2.5÷1000=25000円
500万円×2.5÷100=125000円
(25000+125000)÷2=7万5000円
年額7万5000円までの寄付ならば損金扱いで寄付できます。
●寄付金を受け取った側のNPO法人については、どのような税金が課税されますか?
NPO法人が寄付金(補助金や助成金、見返り・対価性のない会費も含む)を受け取った場合は、原則として課税されませんが、例外として、税法で定められている34種類の収益事業のために充てる場合は課税となります。
つまり、税法にて定められた34種類の収益事業を全く行っていない団体にとっては、課税されませんので、寄付金にて収益がプラスになったとしても法人税等利益に対して課税される税金は支払う必要がありません。
「税法にて定められた34種類の収益事業」と「34種類にはあてはまらない事業」のどちらも営んでいるNPO法人は、これら寄付金が「34種類にあてはまらない事業」に使用されていれば、課税されないことになっています。
しかしながら、寄付金が「税法にて定められた34種類の収益事業」に使用されているならば、その金額が「売上げ」と同様に扱われ、収益がプラスになっているならば、利益に対して課税される法人税等が課されることになります。
※さらに例外として、「税法にて定められた34種類の収益事業」に使用される場合でも、この寄付金が固定資産の取得に使用される場合は非課税となります。この場合、取得した資産の減価償却費は収益事業の損金(経費)に算入することができます。
ちなみにNPO法人が発行する領収書は税法で定める34種類の収益事業を行っていても、いなくても、収入印紙を貼る必要がありません。(NPO法人が発行する領収書はすべて「営業に関しないもの」に該当する為、非課税扱いとなります。なお、契約書には一般企業と同じく収入印紙を貼る必要があります。)
詳細はこちら(国税庁のWebサイトへ)
一般企業の考え方だと「3万円以上のお金を領収した場合は、200円の収入印紙を領収書に貼る」ということになりますが、NPO法人では不要です。言い換えると3万円以上の高額領収書を発行する度に200円得します。
本Webサイトにて設立の流れを説明して参りましたが、NPO法人は他の法人(会社など)に比べて非常に手間と時間がかかります。「一般の人がNPO法人を設立するのには8ヶ月から1年かかる」と言われているのも、上記の決定事項の多さ、書類作成の量を見ていただければ納得していただけると思います。
設立認証だけでなく、登記手続やその後の手続など、とにかくNPO法人をつくるとこれから先は書類との戦いが始まります。
もちろん、書類の雛形は、内閣府や都道府県庁に「NPO法人の手引き書下さい」ともらいに行けば簡単に手に入りますし、都道府県によってはHPから手に入れることもできます。
しかし、手慣れた人が書類を作成・準備するのならともかく、はじめての人が一からすべて間違いなく、しかも短時間でそろえることは、大変骨の折れることです。というよりはっきり言って不可能です。
苦労して書類を一から作り、役所に何度も手直しをさせられて、やっと設立が認められたNPO法人というのも、「自分が設立した」という愛着が湧き、いいとは思いますが、このHPを見られている方は「NPO法人を作ること」が目的ではないはずです。NPO法人で事業を興すこと・社会貢献を行うことが本来の目的ではないでしょうか? NPO法人の申請に時間をかけるならば、設立後の活動準備に時間をかけた方が設立者・そしてそのサービスを受ける消費者にとっても利益となると思われます。
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