NPO法人と会社法人ではどこがどう違うのか? 物事の考え方、利益の分配、設立手続き、設立費用の4つのポイントに絞って見ていくと・・・
物事の考え方
会社の場合、利益の追求が一番に優先されますが、NPO法人の場合は「社会的使命」の実現が優先されます。
もちろんNPO法人といえども活動していく為には従業者の人件費などの経費がかかるので、利益を求めることはしますが、企業のように対価を前提としたものではなく、対価よりも社会的使命が優先されなければいけません。社会的使命を無視して営利だけを追求したら、「非営利」とは言えなくなってしまいます。
簡単に言うと、『儲かるか儲からないか』ということではなく、例えば、『環境保護に全力を尽くす』とか『高齢者のケアをきちんとやりたい』というような『社会的使命』を営利よりも優先させて活動する組織がNPO法人なのです。
登記簿謄本に記載されるわけではなく、また、金銭に換算できる違いではありませんので、目立ちにくい違いですが、この項目が最も大きな違いとなります。
利益の分配
株式会社の場合、売上高から経費を差し引き、利益がでたならば、その利益を株主に分配することが可能となります(ひとことで表せば「株の配当」ということです)。法律上はこの配当を行うことを「営利」といいます。よって、株式会社は営利的な法人ということで「営利法人」という区分に属します。
株式会社だけでなく、有限会社や合同会社、合資会社も出資者に対して利益を分配することができますので、会社は全て「営利法人」に区分されることになります。
逆にNPO法人は、たとえ、売上高から経費を差し引き、利益がでたとしても、その利益を会費を支払った方(会員)や寄付をされた方に分配することはできません。このような配当金を法律上出すことができない法人を「非営利法人」と呼びます。NPO法人は特定非営利活動促進法という法律にて利益の分配を行うことが禁じられていますので、「非営利法人」に属することになります。
なお、ここで説明している「利益の分配」とは、『配当』のことであり、働いた対価として支払われる「人件費」のことではありません。何らかの仕事・業務・ボランティアを行った方に対して、それに見合う金銭を支払うことは「配当」にはあたりませんので、NPO法人が人件費を支払うことは当然認められます。
設立手続
会社とNPO法人の設立手続を比べると決定的に異なる部分が1つあります。
- NPO法人は設立登記の前に所轄庁の認証を受ける必要がある
『認証』という難しい言葉が使用されていますが、簡単に説明すると、NPO法人の設立の前に、役所が「設立趣旨や活動内容に問題はないか?」とか「役員になる人が欠格要件にあてはまっていないか?」というように、NPO法人設立の諸条件を満たしているかどうかを確認する作業となります。
認証手続きが終了し、「あなたのNPO法人は何の問題もありませんでしたので、設立してもいいですよ」と判断されてから、法務局に設立の登記を行い、正式にNPO法人が存在することになります。
この認証の手続きに約4ヶ月の時間が取られますので、NPO法人を立ち上げるには最低でも4ヶ月はかかります。実際は、認証の為の書類を作成したり、認証後の登記手続きに1ヶ月程度の時間を要しますので、どれだけ急いでもNPO法人の設立には5ヶ月程度の時間が必要になります。
なお、会社の場合は「認証」の手続き自体が必要なく、「登記申請だけ」ですので急いで手続きを行えば15日間ほどで設立手続が完了します。
設立費用
株式会社の場合、定款の認証に約9万円、登記の際に収入印紙が最低15万円分必要です。比較的経費がかからない合同会社の設立でも、定款に貼付する収入印紙代が4万円、登記申請時に必要な収入印紙代が最低6万円必要になります。よって御自身ですべての手続きをされたとしても株式会社の場合は24万円、合同会社の場合でも10万円が必要です。
ところがNPO法人の場合は- 定款に貼付する収入印紙が不要
- 登記申請の際の収入印紙も不要
株式会社 | 合同会社 | NPO法人 | |
定款認証費用 | 約9万2000円 | 4万円 | 不要 |
登記申請費用 | 最低15万円 | 最低6万円 | 不要 |
合 計 | 約24万2000円 | 約10万円 | 0円 |
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NPO法人設立認証を申請するには、このHPで説明しているように、非常に多くの書類を作成しなければなりません。設立認証だけでなく、その後の手続など、とにかくNPO法人を設立するとこれから先は書類との戦いが始まります。
もちろん、書類の雛形は、所轄庁(都道府県庁や政令指定都市の市役所)に「NPO法人の手引き書下さい」ともらいに行けば簡単に手に入りますし、所轄庁によってはwebサイトから手に入れることもできます。
しかし、手慣れた人が書類を作成・準備するのならともかく、はじめての人が一からすべて間違いなく、しかも短時間でそろえることは、大変骨の折れることです。というよりはっきり言って不可能です。
苦労して書類を一から作り、役所に何度も手直しをさせられて、やっと設立が認められたNPO法人というのも、「自分が設立した」という愛着が湧き、いいとは思いますが、このHPを見られている方は「NPO法人を作ること」が目的ではないはずです。NPO法人で事業を興すこと・社会貢献を行うことが本来の目的ではないでしょうか? NPO法人の申請に時間をかけるならば、設立後の活動準備に時間をかけた方が設立者・そしてそのサービスを受ける消費者にとっても利益となると思われます。
そこで、弊事務所では、申請書類の認証申請手続きはもちろん、設立後の届出、法務アドバイス、記帳会計代行など設立代表者様の負担を少しでも減らせるように、各種サービスを提供しております。また、NPO法人は設立後も様々な書類を提出しなければいけません。所轄庁から行政指導を受けないように、健全な運営を行っていく上でのコンサルティングも行っております。是非、ご利用ください。
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行政書士法人甲子園法務総合事務所 代表
【藤井 達弘】
NPO設立・運営支援コンサルタントとして皆様のNPO設立をバックアップいたします。
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日本実業出版社の「経営者会報」に4ページにわたり弊社が掲載されています。
女性起業家や起業家のたまごなど、頑張る女性を応援するマガジン『Born to win』に掲載されました。
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