NPO法人は『あなたのもの』ではありません
〜いつまでも「経営者の立場」でいることは保証されていません〜NPO法人の経営者である役員(理事・監事)は、
- 社員総会での議決にて選任される
- 理事会での議決にて選任される
NPO法人の総会では正会員(社員)が「一人一票」の議決権を持つことになります。会費をどれだけたくさん払っていたとしても、多額の寄付をしていたとしても、活動に毎回参加しどれだけ貢献していたとしても、一人の正会員には一票の議決権しか与えられません。「●●さんは議決権が2つ、◇◇さんは議決権が一つ」というように正会員の議決権に差を設けることは法律で禁じられています。
株式会社や有限会社ならば役員を選任する株主総会(有限会社の場合は社員総会)の議決権は「出資した金額(保有する株式の数)」に比例して与えられますので、お金さえ出せば議決権の5割以上を自分で保有することが可能になり、安定的に経営権を保つことが出来るのですが、NPO法人ではこういったことは出来ません。
よって、社員総会にて役員を選任するNPO法人は、社員総会にて、自分が意図しない経営者を選任されてしまう可能性がゼロではありません。NPO法人の正会員(社員)は10人以上が絶対条件です。仮に正会員10名ならば、あなたの議決権は「10分の1」でしかありません。他の正会員6名が「あなたより●●さんの方が役員に向いている」と判断されたならば、役員の座を失うことになります(つまり経営権を他人にとられてしまうことになります)。
NPO法人は、
「●●が問題になっているので私たちは△△の活動を行うことによりその問題を解決し、◎◎の分野にて公益の増進に寄与します」という設立趣旨に基づいて運営していくことになります。これは「ボランティア活動中心のNPO法人」でも「事業活動中心のNPO法人」でも同じです。
所轄庁は、この趣旨に基づいて活動が行われているならば、
・定款で定められた方法にて適切に役員が選任され、
・その役員が欠格条件にあてはまっていない
限り、「誰が役員でも定款に記載されている目的に添って運営されている限り問題なし」というスタンスをとっています(これはNPO法人だけでなくどの公益法人でもいえることですが)。
この考え方に基づくならば、経営側(役員)を追い出されてしまった人にとっては、「乗っ取り」といえるかもしれませんが、「乗っ取り」という言葉が存在しない法人形態ともいえます。NPO法人の活動によって利益を享受することができる一般市民にとっては、誰が経営者であっても、きちんと活動されていれば問題ないのです。
上で記載したこの考え方をあなたは受け入れることが出来ますか?
受け入れることが出来るならば、是非NPO法人で起業してください。社会的使命を果たすためにここまで自分自身を犠牲に出来るならば、他の要件(資金や人材など)さえ満たすことが出来るならばその起業は成功するでしょう。
逆にこの考え方が受け入れられない方はNPO法人で起業してはいけません。
経営権を安定して永続的に確保できる株式会社にて起業しましょう。
・会社設立支援室「社長になるドットコム」
・株式会社の作り方
一応、経営権をとられにくくする方法はあります。
・自分たちの生活費もそのNPO法人から得ている、
・NPO法人自体に役員がお金を貸している、
ということになってくると、「だから経営権をとられてしまってもしょうがないんだ」なんかいってられない、という言い分もわかりますので、弊社でも出来る限りの対策を講じてNPO法人の設立・経営をサポートさせていただきます。
100%経営権の異動を阻止する、ということは不可能ですが(それが可能なNPO法人は、もはやNPO法人とは呼べません。単なる会社です)、通常の状態よりは経営権を奪取されにくい法人体制を整えておくことは可能です。
思い浮かぶ対策としては、- 理事の選任は総会ではなく、理事会にて行えるよう定款を作成する
- 議決権を持つ正会員をできる限り増やさないよう運営していく
正会員数数千人、というような大規模NPO法人は別として、正会員数10〜20名という小規模NPO法人は、「理事会と総会どちらがコントロールしやすいか?」となれば、総会の方がコントロールしやすくなります。正会員の過半数の議決権を手に入れてしまえば済む話ですので。
よって、小規模NPO法人は、理事会にて理事を選任できるようにしておきましょう。当然、理事会にて議決権を持つ理事は信頼できる人物にお願いすることが必要です。役員の人数は親族に関する規定がありますので、一緒に事業を行っている方が適任だと思われます。
議決権を持つ正会員の人数も自分の目が行き届く範囲内で抑えておく方が無難でしょう。正会員の入会制限を行うことはNPO法人の場合、非常に難しいですが、実際のところ「募集していること」を公表していない限り、入会希望者はほとんど現れません。
NPO法人はワンマン経営も出来ません
NPO法人には、
・理事3名以上
・監事1名以上
という役員の人数に関する規定も存在します。最低でも役員は4名必要です。
NPO法人の場合、経営に関する重要事項は「社員総会」または「理事会」のどちらかの議決を経て決定していくことになります。「事業活動中心のNPO法人」の場合、経営に関する重要事項は「理事会」にて議決するよう定款を作成するのが通常ですが、理事会にはあなた以外の理事が最低でも2名以上参加しています。よって、あなたが提案した事項が他の2人の理事に否決されてしまうということも十分あり得ます。
ワンマン経営がしたいならば「株式会社」や「合同会社」といった会社組織がオススメです。どちらの会社も「役員1名(つまりあなたお一人)のみ」で設立できます。他の役員の顔色を伺いながら経営する必要はありません。
・会社設立支援室「社長になるドットコム」
・株式会社の作り方
・合同会社の作り方
NPO法人は他の法人(会社など)に比べて非常に手間と時間がかかります。「一般の人がNPO法人を設立するのには8ヶ月から1年かかる」と言われているのも、決定事項の多さ、書類作成の量を見ていただければ納得していただけると思います。
設立認証だけでなく、登記手続やその後の手続など、とにかくNPO法人をつくるとこれから先は書類との戦いが始まります。
もちろん、書類の雛形は、所轄庁(都道府県庁又は大都市市役所)に「NPO法人の手引き書下さい」ともらいに行けば簡単に手に入りますし、所轄庁によってはwebサイトから手に入れることもできます。
しかし、手慣れた人が書類を作成・準備するのならともかく、はじめての人が一からすべて間違いなく、しかも短時間でそろえることは、大変骨の折れることです。というよりはっきり言って不可能です。
苦労して書類を一から作り、役所に何度も手直しをさせられて、やっと設立が認められたNPO法人というのも、「自分が設立した」という愛着が湧き、いいとは思いますが、このHPを見られている方は「NPO法人を作ること」が目的ではないはずです。NPO法人で事業を興すこと・社会貢献を行うことが本来の目的ではないでしょうか? NPO法人の申請に時間をかけるならば、設立後の事業準備に時間をかけた方が設立者・そしてそのサービスを受ける消費者にとっても利益となると思われます。
そこで、弊事務所では、申請書類の認証申請手続きはもちろん、NPO法人の名称・事業目的の決定・役員選任の際のアドバイスなど「NPO法人設立前の準備段階」から専門家ならではの知識・経験を活かしたコンサルティングを行っており、あなたの事業展開をバックアップしております。また、NPO法人は設立後も様々な書類を提出しなければいけません。所轄庁から行政指導を受けないように、健全な運営を行っていく上でのコンサルティングも行っております。是非、弊社のサービスをご利用ください。
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NPO法人は会社や他の法人と比べると設立する費用がホントに少なくて済むのですが、当然のことながら経営し事業を発展させていくにはお金が必要になってきます。NPO法人であっても、活動資金を獲得し、より大きく活発に活動を継続していくには、利益を追求する会社などと同様の視点が求められます。
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行政書士法人甲子園法務総合事務所 代表
【藤井 達弘】
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日本実業出版社の「経営者会報」に4ページにわたり弊社が掲載されています。
女性起業家や起業家のたまごなど、頑張る女性を応援するマガジン『Born to win』に掲載されました。
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