Q.政府や自治体で実施している企業向けの支援や補助金などはNPO法人でも活用できますか?
A.中小企業を対象にした政府系の公的助成金についてですが、NPO法人の場合、利用できるものとできないものがあります。
- 受給資格者創業支援助成金
- 雇用保険の受給資格者自らが創業し、創業後1年以内に従業員を雇い、雇用保険の適用事業の事業主となった場合に助成金が支給されます。
- トライアル雇用奨励金(試行雇用奨励金)
- 45歳以上65歳未満の雇用保険受給資格者、35歳未満の若年者、母子家庭の母、障害者日雇労働者、ホームレスといった条件を満たすもので、なおかつハローワークが認めた者をハローワーク経由で常勤職員として雇用する場合に助成金が支給されます。
- 特定就職困難者雇用開発助成金
- 高年齢者(60歳以上65歳未満)、障害者等の就職困難者をハローワーク経由で雇用した場合に助成金が支給されます。
中小企業向けの助成金でNPO法人が利用できないものは、
「中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律」
等の『中小企業を支援する為に策定された法律』に基づいて実施されている助成金です。
たとえば、一般の中小企業で馴染みの深い、
- 中小企業基盤人材確保助成金
新分野進出等(創業、異業種への進出)又は経営革新に必要な人材(基盤人材)を新たに雇い入れ、かつ新分野進出に対して300万円以上の経費を出費した場合に助成金が支給されます。
助成金を運用している部署に問い合わせたところ、
『NPO法人は中小企業ではなく、この法律が定めている支援すべき企業には含まれていないのでこの助成金は利用できません』
という答えが返ってきました。
その他、自治体が実施している中小企業向けの融資制度についてですが、これに関しても利用できるものと利用できないものがあります。
自治体が実施している中小企業向けの融資制度は「信用保証協会の保証が必要です」と条件が設定されているものが多いのですが、信用保証協会の利用は「中小企業者及び組合」と規定されているところが多く、NPO法人が利用者から除外されています。よって、「信用保証協会の保証が必要です」という融資制度はNPO法人の利用が事実上不可能となっています(これは一般論ですので詳細は制度を運用している各自治体にご確認ください)。
中小企業向けの支援を受けることは難しいのですが、「NPOコミュニティビジネス支援制度」のような非営利団体向けのビジネス支援を中小企業支援とは別に設けて運営している自治体もあります。
これら非営利団体向けの支援制度は当然NPO法人も受けられます。
本Webサイトにて設立の流れを説明して参りましたが、NPO法人は他の法人(会社など)に比べて非常に手間と時間がかかります。「一般の人がNPO法人を設立するのには8ヶ月から1年かかる」と言われているのも、上記の決定事項の多さ、書類作成の量を見ていただければ納得していただけると思います。
設立認証だけでなく、登記手続やその後の手続など、とにかくNPO法人をつくるとこれから先は書類との戦いが始まります。
もちろん、書類の雛形は、内閣府や都道府県庁に「NPO法人の手引き書下さい」ともらいに行けば簡単に手に入りますし、都道府県によってはHPから手に入れることもできます。
しかし、手慣れた人が書類を作成・準備するのならともかく、はじめての人が一からすべて間違いなく、しかも短時間でそろえることは、大変骨の折れることです。というよりはっきり言って不可能です。
苦労して書類を一から作り、役所に何度も手直しをさせられて、やっと設立が認められたNPO法人というのも、「自分が設立した」という愛着が湧き、いいとは思いますが、このHPを見られている方は「NPO法人を作ること」が目的ではないはずです。NPO法人で事業を興すこと・社会貢献を行うことが本来の目的ではないでしょうか? NPO法人の申請に時間をかけるならば、設立後の活動準備に時間をかけた方が設立者・そしてそのサービスを受ける消費者にとっても利益となると思われます。
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